ないものねだり

だって、ないんだもの

お一人様

「新鮮なエビとホタテを存分に使ったクリームパスタになります」

皺一つないスーツを身に纏った給仕が上品に料理を私の目の前に置いた。

「ありがとうございます」

料理に無邪気に目を輝かせているのを隠しながら、小さくお礼をいった。

「それでは、お楽しみください」

 

一人で料理を食べるのはとても楽しい。まるで小説の主人公になった気分だ。

 

この誰もいない星で、私はお一人様である。