ないものねだり

だって、ないんだもの

15フンゴト

15フンゴト−4

「はい、15分です」 「え」 「15分経ったので、一旦休憩です」 「あ、はい」 まだ、ぼーっとする頭で、反射的に返事をした。 「体の状態は悪くないですね」 「はぁ」 頭が何かで覆われている。体も固定されている。四方八方で、機械がウィンウィンと呻いてい…

15フンゴト−3

「違う、そうじゃない」 私が何者かというのは、哲学的に考えたかったわけでなく、私の、例えば、生物学的な特徴はなんだろうかという事である。そういう意味で、私が認識したら私であると納得するのは、少し怠慢である様に感じる。というのも、私自身の物質…

15フンゴト−2

「あいつら、そもそも何者だ」 勝手に他人だと思い、つまり、私と同種だと勘違いしていた。いや、勘違いかどうかもまだ分からない。そもそも、奴らが私と似た存在で、私と同じ言語を話すとは限らない。 あぁ、なるほど。また、驕ってしまったわけだ。私は何…

15フンゴト−1

右手に持ったガラスのコップには飲み終えた炭酸の泡が奇跡的に残っている。それにも構わず、左手で蛇口の取手を押し上げ、そこから勢いよく流れ出る水とその中の新たな泡にかき消されるのであった。 私はどこで生まれたのかも分からない。気がついたらここに…